去る9月7日(金)、沖縄県公文書館を訪問しました。継承する会の全体的なデジタル・アーカイブス(電子図書館)の構築に向け、同館の取り組みの現状を視察し参考にすることを目的に伺いました。その概要を、以下にご報告します。
(日 時) 9月7日(金)3時から4時
(場 所) 沖縄県公文書館 沖縄県南風原町字新川148番地3
(相 手) 公益財団法人 沖縄県文化振興会 公文書管理課
課長 大城博光氏、公文書専門員 清水史彦氏(連絡窓口)
(株)Nansei(旧南西マイクロ)技術部
JIIMA1級文書情報管理士 上原将人氏
(概 要)
① 沖縄県の公文書は、毎年、使用済みの文書が(公益財団法人)沖縄県文化振興会に移譲され、その保存(すべき文書の選択)、公開等を委託しています。沖縄県公文書館は指定管理者制度を採用し、沖縄県文化振興会はその指定管理者です。その趣旨は、公文書管理の専門性・継続性を確保するためとしています。同制度導入までは沖縄県が直接担当部署を置き、管理していたということですが、職員の定期異動で専門性が蓄積されないという難点を抱え、同制度に踏み切ったとのことです。他方、委託予算の確保、保存文書の選択等、振興会は少なからず課題を抱えているように感じました。
② デジタルアーカイブに関連する事業としては、文化振興会が保存文書の選択・目録作成、公開文書の選択と個人情報保護のためのマスキングを主に担い、(株)Naseiが保存文書のスキャニング(受託は入札)を担っています。スキャナーなど機器類のリースと技術指導は、T印刷が担っています。政府や自治体など他で使用済みの機器類の再使用のため、使用料は高くはないとのことです。「定例会」として隔月、沖縄県担当部署、文化振興会公文書管理課、(株)Nanseiなど受託業者、T印刷で状況報告、業務上の問題点などを打ち合わせているとのことでした。
③ 現在、デジタルアーカイブの中心作業は、米国統治下の「琉球政府文書」(約20年間、所蔵文書約16万簿冊)のインターネット公開です。琉球政府文書デジタルアーカイブは、「カテゴリー」「資料紹介記事タイトル」「概要」として紹介され、HPからアクセスすることができます。
④ 現場を視察しましたが、スキャニングは機器と技術が肝要で、T印刷が管理や指導をかなり担っているように見受けられました。個人情報のマスキングは公開基準(公開条例、規則)に沿ってということでしたが、国立公文書館の公開基準をも参考にし、かつ必要に応じ連絡・相談しているとのことでした。公開の考え方は、それぞれ(行政)の立場で整理すべきだという印象を持ちました。