奈良県生協連などでつくる「ピースアクションをすすめる会」が3月21日、奈良市内で「ぴーすかふぇ」を開きました。
「ノーモア・ヒバクシャを奈良から」をテーマに活動している入谷方直さんが「奈良県内の原爆被害者の取り組みと歩み~2年間の被爆体験の掘り起こしの中で」と題して報告。2006年に解散した奈良県原爆被害者の会(わかくさの会)が発行した手記集『原爆へ 平和の鐘を』1~3巻を復刊させたいと、仏像を中心とした文化財修理技師としての本業のかたわら、関係者を一人ひとり訪ね歩いたことなど、地道なとりくみが語られました。
県立、国立国会図書館をはじめ各府県立、大学図書館などにおける1~3巻までの所在確認作業(2巻の現物はどこにも残っていなかった!)。ご自身では手記を遺さなかった初代会長・田中義治さんの証言内容を学校講演への子どもたちの感想文から再現していく試み。古い地方紙の記載事項をたどっての調査などから、わかくさの会は再建された会であり、その前身は「奈良県原爆被災者の会」であることなど、奈良県内の被爆者の会とそれを担った被爆者たちの歩みが次々に浮かび上がってくるさまは、驚くばかりでした。
誰かが掘り起こし伝えていかなければ「なかったこと」にされてしまう被爆者の存在、会の活動は、まるで歴史に埋もれた文化財のようでもあり、その修復にとりくんでおられる入谷さんならではの掘り起こし作業に目を開かれる思いがしました。
雨まじりの寒い日でしたが、被爆者・遺族を含め60人を超す人々が参加。現役の生協関係者だけでなく、わかくさの会を支え平和行進にも参加したという生協OBらの顔ぶれも見られました。
講演を受けてのグループ討議では、参加者たちが口々に感動を語り合いました。
「被爆者の話を聞けてよかった。手分けして聞きとりをして、皆で第4集をつくろう」
「パソコン作業など入谷さんのお手伝いをしたい」
「入谷さんに弟子入りして共に活動したい」など今後への希望も出されました。
「奈良は古くから歴史と文化をつないできたところ。奈良でしかできない平和活動が築けるはず」と入谷さん。“いにしえに学び未来につなぐ”という奈良の人々の誇りも感じられた催しでした。